概 要
今年は平成から令和へと新たな時代が始まる年となりました。我が国の医療、病院経営を振り返ると、昭和の時代は成長と拡大の時代であったのに対して、平成の時代は抑制、削減そして質的充実の時代であったと思われます。一方、令和の時代においては医療に関する需要・供給構造が大きく変化し、病院という医療提供施設は大きな転換の時代を迎えると想定するのが適切と考えられ、いまや、全ての事柄に対する判断基準として「これまでと同じ」という整理はできず、新たな経営感覚や意識で病院経営を行うことが必要な時代の到来しているものと考える必要があります。すなわち、激動の中で5年後、10年後を考えて行かなければならず、病院開設型医療法人の相続税対策ではない事業そのものの承継をどのように考え、進めていくのかについて、しっかりとした方向性を見定める作業が重要となっているということです。そもそも病院という医療提供施設は、既にそこにある外部環境、すなわち各地域における地域情勢を無視することはできません。本格化しそうな地域医療構想問題はその象徴でもあります。そして、経営体毎の内部問題としてのヒト(人材)、カネ(資金)、モノ(施設・設備)の充足状況や現状と将来構想もそれぞれの医療法人によって異なる状況の下にあることの再認識が求められるのです。
本セミナーは、令和の時代になって劇的に変化し始めた我が国の社会保障制度改革に関する考え方を決定した「骨太の方針2019」や2040年への厚生労働省展望の内容と実相を説明するとともに、病院開設型医療法人の経営状況、対置関係にある公的病院群の経営状況について整理・分析を加えるほか、経営状態が悪化した場合に発生する財務問題等について現実的な解説を行います。35年以上の長期にわたり病院開設型医療法人の経営に関与するとともに、公的病院群に関しても係わりを持ってきた財務専門家・石井孝宜先生より、医療法人理事長並びに経営幹部の皆様に向けて実務解説をさせて頂くものであります。