「会社法務実務研究会」は、平成 7 年(1995 年)1 月に発足し、毎回盛会のうちに開催を重ね、令和 8 年(2026年)は 32 年目を迎えることとなりました。創立84年を迎えた伝統ある産業経理協会の歴史の中で、「会社法務実務研究会」が 30年を超えて永きにわたり継続できましたことは、偏に皆様方の熱心なご支援のおかげと感謝しております。幸い毎年多くの会社のご参加をいただき、私どもが研究している種々の問題点についての発表に際し、有益なご質問等をいただくことで貴重な問題点、関心の対象を知ることができ、大変有意義な研究会として継続できましたことに対し、深く感謝申し上げます。
さて、2025年は、有価証券報告書の総会前開示の要請の影響を受けて、株主総会に向けた準備や運営面で新たな留意点が生じたほか、株主による議決権行使の実質化が進むなか、機関投資家の動向の分析をふまえ、ガバナンスの強化や年間を通した情報開示の充実などが実務運用上の課題となっています。また、2026年には、5年ぶりとなるコーポレートガバナンス・コードの改訂や会社法改正の議論の進展が見込まれており、企業の成長戦略を実行するための環境整備や株主とのエンゲージメントの促進などが議論されるとともに、引き続き取締役会や各種委員会等の実効性などが重要課題であり、人的資本を含むサステナビリティを意識した経営が求められています。その他、M&Aの動向、金融商品取引法上の規制、独占禁止法の運用などについても検討を要する問題点が数多く生じています。
32年度を迎える本研究会では、コーポレート・ガバナンスの現状と主要課題を検討し、また株主総会に関する基本的な留意事項や運営実務全般、株主提案の動向、監査役員の監査業務の留意点を取り上げるほか、会社法改正の議論状況、企業のリスクマネジメント、独占禁止法、金融商品取引法、 M&Aに関する問題点等について、最新の情報を踏まえて実務的観点から検討いたします。
本研究会の四半世紀以上にわたる実績を踏まえ、32年度も本研究会の更なる充実を図りますので、これまで以上に多くの企業関係者のご参加をいただきたく、切にお願い申し上げるとともに、この研究会を続けることで会社法務につき企業関係者と私どもの実りある共同研究の場となることを祈念しております。