概 要
一昨年10月に発足した岸田政権は昨年7月の参議院選での自民党単独での過半数確保、今年4月に行われた統一地方選挙、7月のサミット開催と主要な政治日程を乗り越えて10月に丸2年の在任期間を迎えます。5月の広島サミット後には、衆議院の解散=総選挙が取り沙汰されはしましたが、マイナンバーカードをめぐる混乱等による支持率の急落がその流れを押し留めています。まるでかつての「消えた年金問題」を思い起こさせるようなマイナンバーカードの取り扱いの失態や福島第1原発の処理水海洋放出をめぐる問題の展開次第では、さらなる支持率の低下も見込まれ、今後の政治状況は混沌としたものにもなりかねません。日本経済に関しては、インバウンド需要に本格回復の兆しが見え始め、大手企業の賃上げ率が30年ぶりの高い水準となるなど好材料もありますが、日米の金利差の拡大が想定されるなかで、引き続き円安問題が浮上し、今後も輸入価格の上昇に伴う国内物価上昇の影響も無視できません。また日銀が7月の金融政策決定会合で長期金利の一定の上昇は容認する姿勢を見せていることにも留意が必要です。
一方、世界の政治・経済に目を転じると、激化する米中経済対立やロシア・ウクライナ戦争は依然として終息の兆しも見えず、米国経済では政権の経済政策の後押しにより設備投資も増加しているとみられ、底堅い状況が続いている反面、金融引き締めの影響で2023年末にかけて成長率が低下する恐れもあります。中国経済はGDPの4分の1ほどを占めるとされる不動産市場の低迷の長期化や雇用状況の悪化や人口の減少傾向が今後も進む懸念がされるなか、4月から6月までのGDP伸び率が、前の3か月の期間と比べプラス0.8%にとどまるなど、「ゼロコロナ」政策の終了を受けた景気回復の勢いは減速しています。
今回も上述の国内の政治・経済の動向、アメリカ、中国、ヨーロッパ情勢を中心にグローバルリスクを念頭におきつつ、将来をいかに展望するかという問題意識のもと、多面的な捉え方が可能となるよう、適時最適任の講師をお招きし、皆様のご要望に沿うテーマ・内容を心掛けた企画・運営を進める所存でございます。何卒多数の皆様のご参加を賜りますようお待ち申し上げる次第でございます。