概 要
2009年3月10日の東京株式市場では、前年9月のリーマンショックを発端にする景気悪化によって、バブル経済崩壊後の最安値となる7,054円98銭を記録するまで落ち込み、その後も長らく低調に推移していましたが、ここに来てバブル崩壊後30年を経て、本年2月22日にはバブル期1989年12月29日の過去最高値を更新する39,098円68銭をつけ、3月4日には史上初めて4万円台に到達しています。しかしながら、その実態は中国株式市場の低迷や半導体関連株、一部輸出関連企業の好調によるとする見方もあり、世間一般においては引き続き円安傾向による輸入価格の上昇に伴う国内物価上昇や、その上昇に賃金上昇は追いつかず、実質賃金は22か月連続のマイナスを記録するなど景気の向上を実感することが乏しいものと思われます。今後においては、日銀のマイナス金利解除や企業の堅調な業績が続くのか、あるいは持続的な賃上げが達成され、デフレから完全に脱却できるのかといった論点が注目されることになります。果たして日本経済は低迷期から脱出することができるのでしょうか。
また、国内政治に関しては惨憺たる現状にあり、昨年発覚した政治資金パーティー収入の裏金問題もあり、内閣支持率は5か月連続で過去最低を更新しており、4月に行われる衆議院島根1区、長崎3区、東京15区の国政補欠選挙で自民党が敗北するようなことになれば、岸田政権の基盤はますます脆弱なものとならざるをえません。
一方、世界の政治・経済に目を転じると、2年を経過してもロシア・ウクライナ戦争は依然として終息の兆しも見えず、それに加えて新たにイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突によるパレスチナ問題が勃発しており、世界情勢は混迷の度を深めております。米国では11月に行われる大統領選挙において、共和党指名が濃厚なトランプ前大統領再選の予測も具体化しており、その場合には、世界の政治経済にも多大な変化をもたらすものと思われますが、その前にFRBによる金融政策の動向にも注意が必要と思われます。
中国経済においては、3月5日に開幕した全国人民代表大会で実質GDP成長率目標を5%前後と昨年と同水準を目指すとしているものの、依然として不動産市場は低迷しており、その水準を達成することはかなり難しいとする向きもあり、中国に進出する外国企業を取り巻く環境も改正反スパイ法や改正治安管理処罰法などにより一層厳しいものとなることが予想されます。
今回も上述のようなリスキーな国内の政治・経済の動向、アメリカ、中国、ヨーロッパ情勢を中心にグローバルリスクを念頭におきつつ、将来をいかに展望するかという問題意識のもと、多面的な捉え方が可能となるよう、適時最適任の講師をお招きし、皆様のご要望に沿うテーマ・内容を心掛けた企画・運営を進める所存でございます。何卒多数の皆様のご参加を賜りますようお待ち申し上げる次第でございます。